Flambee Montalbanaise 6 
音楽あふれるカフェにて〜フランベ・モンタルバネーズ








「やっぱり駄目か。童話のように都合良く目が覚めるわけないよな」
菊丸は不二の柔らかい髪を撫でた。ゆっくりと・・・優しく。
そして何度も何度も唇を重ねた。
「不二、ずっとこうやってキスをしたかった。不二でなきゃ、不二でなきゃだめだよぅ・・・」
菊丸の瞳から次から次へと涙が溢れ、それは菊丸の頬を伝い唇を伝い重ねられた不二の唇をも濡らした。
菊丸は不二に掛けられている布団をめくって不二の横に自分の身体を潜り込ませた。
不二の身体をぎゅうぅっと抱きしめる。
「不二にこうやってぎゅうっとされたかった。不二に包まれたかった。・・・なのになんで目を覚まさないんだよ。どこまで心配かけさせりゃ気が済むんだよ」































誰かに呼ばれたような気がして立ち止まった。
誰もいない白い世界をずっと独りで歩いていた。もうどれくらい歩いたか判らない。
何処に向って歩いているのか、何故歩いているのかも判らない。
「不二っ・・・・・・」
今度ははっきり聞こえた。
『音』として響いているのではなく頭の中に直接語りかけられる『声』

(不二・・・?不二って誰?)
右を見る。
左を見る。
そして振り返って見る。
今までと何も変わらない白い風景。
再び歩き始める。

ずきんっ・・・

身体の ――― 胸の奥が一瞬熱くなった。
「何この感覚?」
この感覚に覚えがある・・・何処で?何で?どうして?
思い出す事が出来ない。
再び立ち止まる。
「不二っ・・・」
また『声』が聞こえた。


(不二は ――― 不二は僕だ!)


































菊丸は不二の首筋に唇を這わせた。今まで不二にやってもらったように・・・優しく。
パジャマのボタンを一つずつ外していき、露になっていく素肌にも次々と唇を這わせていく。
パジャマの上着のボタンをすべて外し終えると前を肌蹴させ、その上に覆い被さる。
「不二・・・俺を感じてよ」
菊丸は不二の左胸の突起に舌を這わせ、舌の先で転がした。しかしいくら菊丸が不二の乳首を舌で嬲っても吸い上げても不二の身体の反応はなかった。
「不二、何も感じないの?」
菊丸は不二のパジャマのズボンの上から不二自身をなぞった。根元から先にかけて何度も何度も擦ってみる。しかし先程同様にそこは何の反応も示さない。菊丸は不二のパジャマのズボンを下着ごと下ろした。
あれだけズボンの上から擦っていたにもかかわらず不二のモノはだらりと垂れていた。菊丸は不二の根元を掴んで先を口に含んだ。根元を指で擦りながら先端を舌先でしゃぶり続ける。しかし菊丸の指と口にに感じる不二のモノは相変わらずやわらかいままで何の変化も無い。それどころか菊丸の方がジーンズの前が窮屈になり限界に近づいてきた。
「不二・・・・・・」
菊丸は一旦不二から手を離し、不二の横に仰向けになって自分のズボンのチャックをおろして菊丸自身を取り出した。もうすでに先端から蜜が濡れ始めている。
(もうこんなにして、いやらしいね)
ふいに耳元に不二の声が聞こえた気がした。菊丸はハッとして隣にいる不二を見たが不二は相変わらず眠ったままだった。
「不二っ・・・つっ・・・あぁっ」
菊丸は不二の指でされることを想像しながら自身を性急な動きで高めていった。
「あんっ・・・」
前に触れているだけでは満足できなくなって自分の指を唾液で濡らして後ろの孔に差し入れる。何度か抜き差しをして不二自身で掻き回されていることを想像する。
「ああ・・・ん・・・ふ、不二っ・・・」
菊丸は隣で眠る不二を見た。
「そうだ・・・不二本人が居るじゃんかよ・・・・・・・・・」
菊丸はズボンを脱ぎ捨てると不二の上に跨った。やわらかいままの不二自身を掴んで自分の後孔にあてがう。
「勃っていない不二を挿れるのは初めてだけど・・・だいじょうぶだよね」
菊丸は一気に腰を降ろした。やはり勃っていない不二自身を挿れるのはすんなりとはいかなかったがそれでもなんとか全部埋め込むことができた。
「ほら、不二・・・挿入ったよ。また俺と不二が繋がったんだよ。俺を感じてよ」
































光が見えた。
今まで見たことも無いような虹色の光。無意識にその光の方に歩いていく。
「不二っ・・・・・・」
また『声』が聞こえた。今度は光の差す方向から・・・・・・・・・
(この声を聞いたことがある)
「不二っ・・・俺を感じてよ・・・・・・」
「英二っ!」
不二は身体が熱くなった。


































不二が目を開けると目の前に自分に跨って淫らな格好をしている菊丸の姿がが飛び込んできた。
カッターシャツの前をはだけさせ下は何も履いておらず目の前で大きく足を開いている。そしてその開かれた足の真ん中には菊丸自身が痛いほどに天を仰いで先端から蜜を垂らしていた。よく見るとそのそそり立つ菊丸自身の後ろの孔には不二自身が埋め込まれていて・・・・・・・・・・・・
「英二っ!何やってるの!!!」
「ええっ不二っ!目が覚めた!」
菊丸がその大きな瞳から涙をあふれさせ不二に抱きついて来た。
「お、俺・・・もう不二が目を覚まさなかったら・・・目覚・・・・・・めなかったらどうしようかと・・・・・・ううっ・・・・・・」
「僕はどれくらい眠っていたの?」
「半年だよ!心配かけやがって!」
「ごめん英二・・・」
不二は自分の肩に顔を埋めて泣いている菊丸の髪をそっと撫でた。



「で、英二は何でここに居るの?」
「不二の馬鹿ぁ!半年も音信不通だから裕太君に頼んで連れて来て貰ったんだよ!」
「本当にゴメン。そして来てくれてありがとう」
不二は菊丸の頬を両手で挟んで自分の正面に向かせた。
「不二・・・・・・」
「英二・・・・・・」
自然と唇が重なった。軽いものから深いものへ。やがてお互いの舌を絡め合いぴちゃぴちゃという水音が病室に響きはじめた。
「ん・・・あふっ・・・」
菊丸が甘い声を漏らす。
「そういや英二、これ英二が挿れたの?」
そう言うや否や不二は腰を下から突き上げた。
「やんっ!」
「まだ僕の準備が出来ていないというのにいやらしいね、英二は」
「あ、ああん・・・やっ・・・不二・・・」
菊丸の中で不二自身は質量を増していった。
「やんっ・・・不二っ大きくなってる」
「あたり前じゃないか目の前で英二にそんな格好させられたらぞくぞくするよ」
「や、やだぁ・・・不二のえっち!」
「えっちなのは英二でしょう。さあ自分で動きなよ」
不二は再び下から菊丸を突き上げた。
「ひゃんっ・・・やだやだ・・・・・・・はずかしいよう」
「何がはずかしいんだよ。わざわざフランスまでやって来てえっちなことしてるのは英二の方じゃないか」
「あぁ・・・ん・・・そ、それは不二が目を覚まさないから・・・俺、無我夢中で・・・・・・・・・」
「英二がそうしてくれたから僕は目覚めたんだよ。・・・ありがとう。僕は英二の愛ある行動が嬉しいよ」
「不二・・・・・・」

菊丸は腰を上下に動かし始めた。ゆっくりと・・・そして速く。腰を降ろす度に不二の先端が菊丸のイイトコロにあたり全身に衝撃が走る。
「不二・・・去年に比べてここも大きくなってない?」
「そお?身長と違ってそんなトコロは測らないから分からないよ」
「・・・・・・・・・大きくなってるって・・・すごく・・・イイ」
菊丸が腰を上下に動かす度に菊丸自身もぷるんと上下に揺れる。そんな菊丸自身に不二はそっと手を伸ばす。
「英二も去年に比べりゃ大きくなってるよ。・・・それにぷるぷる揺れてて可愛い!」
「//////やっ、不二ったら・・・」
不二は菊丸自身を掴むと根元から先端にかけて擦り始めた。
「あ、・・・・・・・・・待っ・・・不二っ・・・・・・だめっ!」
きつく眉を寄せる菊丸の顔を仰ぎ見ながら不二は蜜を滴らせている先端の窪みを引っ掻いた。
「やああっ、あああっ!!・・・・・・・んっ・・・っ・・・・・・はぁっ・・・・・・・・・」
勢い良く上がった飛沫が不二の胸元から顔面を濡らしていた。
「はあっ・・・・・・・はあっ・・・っ・・・」
菊丸は胸を激しく上下させて肩で大きく息をついた。
「ごめん・・・不二・・・顔、汚しちゃった・・・・・・」
「いいよ。英二のだから。それに分かっててやったことだし」
「///わ、分かってて?・・・・・・」
「一度英二に顔射やられてみたかったんだvv この体勢だと英二のかわいいのが目の前で見れるしね」
「やっ///////不二のえっち!いつのまにそんなエロエロになったんだよっ!」
菊丸はそう叫ぶと欲望を吐き出してすっかり萎えてしまった自分自身を両手で隠した。
「今度は僕の番だよ」
不二は上体を起こして繋がったままの菊丸をうつ伏せにした。そしてうつ伏せた菊丸の片足を不二が抱え上げ もう片方の足を跨いだ体位をとった。
「ふ、ふじぃぃぃ〜////////・・・・・・これって・・・」
「僕の十八番(オハコ)、"つばめ返し"だよ」
不二はにっこりと微笑んだ。







「あぁ・・・んっ・・・・・・はぁっ」
不二が抜き差しを繰り返す度に漏れる甘い声。
「ひゃあっ?!」
不二の先端が菊丸のポイントを突いた。
そこを掠めた途端、背が撓り、蕾がキュッと閉じた。
「ここだね」
何度も不二自身を往復させると、菊丸の身体が面白いほどびくんびくんとはねる。
「やっ・・・・・・ぁっ、不二っ」
枕に縋りついて涙をこぼす菊丸。
「・・・・・・ぁ、ア、アアン・・・・・・!」
激しくなっていく動きに、菊丸は気が遠くなる。
遠くなりながら、わずかに残った意識の片隅で思う。
身体を煽るのは、何も肉体の快楽だけとは限らない。
「好き」と思うだけで、身の内を電流が駆け抜ける。
「好き」だからこそこんなに心が満たされる。
「あう・・・・・・っ、ああ、あん、・・・・・・ンンッ・・・・・・」
不二が好き。
「ふ、不二っ・・・・・・」
キレイな不二が好き。
「好き、す・・・・・・き、不二っ」
顔が綺麗で、髪が綺麗で、テニススタイルも綺麗で。
「好き・・・・・・すきっ・・・好きだから・・・不二だけが好き・・・」
自分を抱きしめるこのやさしい腕も好き。
そして外見だけではなく暖かい眼差しで見てくれる不二の瞳が好き。
試合の時に見せる真剣な険しい眼差しの不二も好き。
自分をを心の底から本当に想ってくれている不二が好き。
「あぁ・・・ん、好き・・・大好き・・・・・・不二」
最奥に激しく打ちつけられて、身悶える菊丸。
快楽の衝撃に耐えながら枕に縋りついて自分を好きだと言いつづける菊丸を見て不二は自分が菊丸と離れている間に菊丸が自分以外の誰かと関係を持ったことを悟った。
「英二・・・」
不二は菊丸を仰向けにさせて向かい合う形をとった。
「不二・・・・・・?」
「お互い顔が見える方がイイでしょ」
重なる唇。唇を離すとしばらくお互い見つめ合った。菊丸の大きな瞳は真っ直ぐに不二を捕らえ不二を求めている。
「僕も英二のこと好きだから。愛してるから」
不二は菊丸の瞳を覗き込んで言った。今の菊丸は不二だけを見ている。不二だけを感じている。不二にはそれで十分だった。菊丸に何があったか、誰と関係を持ったかは聞くまいと思った。菊丸が今までに出会った人達が、見てきたもの達が今の菊丸を形成している。 不二は菊丸が関係したもの全てを含んで菊丸を愛したかった。
不二が再び抽入を始めた。
「ふぁっ・・・・・・ああ・・・・・・」
感じ入ったような声が菊丸の喉奥から漏れる。
イイ場所を何度も擦り上げ、一度入り口まで引き戻してから、再び最奥を目指した。
「あ・・・・・・不二、俺、もう・・・・・・・・・俺もうイッちゃう……ッ!」
「イこう、英二。・・・一緒に」
「ああ・・・・・・・・・ふああああっっ!」
突かれる最奥と締め付ける柔肉に、二人ともほぼ同時に頂点へ駆け上がった。















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