〜 ten years after 〜 10年後の日常

† departure †



「俺は今日ここで寝る」

不二はゆっくりと俺を振り返った。

「構わないけどそれがどういう意味か解ってるよね」
「ああ」
「いいの?」
「あれこれ悩んだところで結局堂々巡りだからさ、それなら思い切って行動に出た方がいい」
「途中で嫌だって言ってももうやめないよ。きっと始まったら僕は自分を抑えきれない」
「不二でもそんなことあるんだ」
「男なら解るでしょ」
「ああ」



「電気は消すけどカーテンを少し開けてもいいかな?あまりにも真っ暗ってのはね。月明かりくらいなら許してくれる?」
俺は黙って頷いた。











僅かに月明かりが差し込む部屋で不二がそこにいるという存在だけがわかる。

暗闇の中、カーテンを少し開けると差し込まれる月明かりによって英二の存在が浮かび上がった。


不二がゆっくりと近づいてくる。

僕はゆっくりと英二に近づいた。


立ったまま抱きしめられてキスをされた。

ずっと立ったままの英二をそのまま僕は抱きしめ抵抗しないその唇に自分のをそっと重ねる。









キスをしたまま抱きしめて僕は英二のパジャマの裾から手を差し入れて背中を弄った。
英二の素肌に触れてドキリとする。
「ん・・・」
重なったままの唇から漏れる吐息。
舌を差し入れて英二のに絡ませる。
「あ、ふっ・・・」
苦しいのか時々英二は酸素を求めて唇を離す。
でも僕は離さない。
唇を離される度に僕は追いかけるように唇を吸い上げて啄ばむ。
柔らかい英二の唇を舐め上げて軽く吸い付き咥える。
「あっ・・・」
突然英二の膝が折れて地に膝をついた。
「英二、大丈夫?」
英二はぜえぜえと荒い息をしている。
「不二・・・やっぱお前キス上手過ぎ・・・力抜けた・・・」
「ごめん、腰抜けるほど求めるつもりなかったんだけどな」
僕は英二を抱え上げてベッドに横たわらせた。







不二はやっぱりキスが上手だった。
強く求めたかと思うと鳥のように軽く啄ばんだり強弱をつけてくる。
途中で酸素を求めて唇を離しても直ぐに求め、吸い付いてくる。
甘くて官能的なキス。
その甘さに流される。
そして気付けば全身の力が抜けていた。


力が抜けてベッドにぐったりと横たわった俺に圧し掛かる。
そしてゆっくりとパジャマのボタンを外された。
慣れた手付き
そう、不二は男を抱くのに慣れている。
でも俺は・・・・・・


月明かりを浴びて僅かに浮かび上がる不二のシルエットが妙に卑猥で俺は顔を背けた。
高鳴っていく鼓動。
湧き上がる羞恥心。
今すぐにこの場を逃げ出したい衝動に駆られながらもこの先を望む自分もいる。


この行為は俺にとって不二への気持ちをはっきりさせる為の儀式。





「ん、ふぅ・・・」
不二に胸の突起を吸われて無意識に鼻にかかった吐息が漏れてその艶っぽさに自分でも驚く。
歯を立てられ指で摘みあげられてその刺激に自然と腰がくねってしまう。
まるでAV女優みたいだ。
不二の刺激はどんどんと俺を昂ぶらせていく。
その度に身を捩じらせてふとAV女優達は演技であのような動きをしているのではなくて本当に感じているから自然とあのような大袈裟な動きになってしまうのではないかと思った。
それくらい不二の愛撫は俺を溶かした。
「英二、声を我慢していたら辛いよ、声出したら楽になるよ」
「だ、誰がそんな・・・恥かしい声、出す・・・か、っての・・・」
「そんな事言ってられなくなるよ」
途端パジャマのズボンの上から下半身のモノを掴まれた。
そこは先程からの愛撫で既に固くなって半分くらい頭を持ち上げている。
「あぁんっ・・・!」
自然と声が出る。
これが自分の声かと疑うくらい艶のある声
俺、なんつー声出してるんだ。
いわゆる「嬌声」ってやつ。
でも、もう
止められない。
今日は媚薬を飲まされているわけでもないのに・・・
どんどん流されていく。

「やっ・・・ふ、じ・・・やめっ・・・」
不二の手は布越しに俺の根本から形をなぞって先端を突付いた。
「やんっ!!」
敏感な場所を突付かれ嫌でも声があがってしまう。
こんな声聞かれたくないのに
こんな姿見られたくないのに
なのに意に反してどんどん追い詰められていく。

「うあっ・・・」
不二の手がズボンの中に入って直にそこに触れた。
布越しではない直接的な刺激に背中に電流が走る。
「い・・・やだ・・・ふ・・・じ」
不二は無言で俺を追い詰める。
根本を強く握ったかと思うと力を緩めて上下に扱く
そして先端の割れ目に沿うように指の腹で撫で回す。
「あ・・・あんっ・・・あ、」
快楽に耐えるためにシーツを握った指が震えだす。
「英二、もっと気持ちよくしてあげる」
ズボンを下着ごと脱がされて外気に晒される。
薄暗い部屋だからはっきりと見えないだろうけど勃起しているモノを不二に見られるのはやっぱり嫌。
「恥かしい・・・・・・」
不二に見られるのがとてつもなく恥かしい
佐伯との時は明るい部屋だったのにそんな風に思わなかった。
あれは媚薬の所為だったからかもしれない。
初めてのSEXは勿論女とだったけど不思議と恥かしいと思ったり緊張したりすることはなかった。
なのに今こんなにドキドキしている。
不二に?
親友だからこそドキドキするのかもしれない。
親友の不二にこんなことをされるのが未だ心のどこかで受け入れきれていないのかもしれない。
しかし次の瞬間そんなことはどうでもよくなった。
不二の口に俺の勃起したモノを含まれたからだ。
「ふ、不二っ!何やっ・・・あっ・・・」
腔内の温かくねっとりした感触
不二の舌のざらっとした感触
当たる歯の微妙な刺激
「ああぁっーーーーーーーーーっっっ」
僅かに残っていた俺の理性が見事にふっ飛んだ。












今こうやっていることが実際信じられない。
僕が英二を抱いている。
夢じゃないんだ!

何度夢の中で英二を抱いたことだろう
何度英二の乱れる姿を妄想しただろう

それが今自分の目の前で現実に起こっている。


英二のパジャマのズボンを下着ごとずり下ろすと薄明かりの中でぷるんと英二の猛ったペニスが現れたのが見えた。
僕はすぐさまそれにしゃぶりついた。
可愛い英二の大事な処。
愛したい。
そして、もっと乱れさせたい。
快楽に溺れる英二を見てみたい。

「あぁぁっん・・・・あ・・はぁ・・」
英二のペニスを口に含んで直ぐに英二は陥落した。
先程までの理性を保っている英二はもう居ない。
「あぁっ・・・やぁぁっっ・・・は・・・あ・・不二・・・」
英二が声を上げる。もっと聞きたい。もっと、もっと・・・・
英二がもっと乱れる姿を見てみたい。
英二のペニスが僕の口の中で暴れるのを更に誘導する。根本を握り締めたまま甘噛みしたり、吸い上げたりしてもっと英二が声を出さずにいられないようにする。
空いたもう片方の手で下の袋を揉みながら先走りの液でトロトロに濡れている先端の窪みに舌を這わせた。
「んっ・・・あ・・イイ・・・はぁ・・・」
惜しみなく出してくれる英二の声が嬉しい。
英二の全てが欲しくなる。
僕の口の中で英二がどくどくと脈を打っている。
英二の絶頂が近い。
「んぁっ・・・不二・・・離せっ、で、出るっ!」
「離さない」
僕は英二の先端の剥き出しになっている部分に歯を立てて思いっきり吸い上げた。
「あ・・・それ・・・だめぇぇぇぇーーーーー!!!!」
僕の髪に、自分の指を通して僕の頭を、自分の股間に押し付けてしまう英二。僕の口腔
に、英二の暖かい液体が溢れた。
「ん・・・・・」
独特の苦味のある液体を僕はごくりと飲み込んだ。人の放ったものを飲む趣味はないけれど英二のだから飲み込める。英二の放ったものまで僕は愛したい。



「不二・・・お、お前・・・まさか・・・・・・?」
「飲んだよ。ご馳走様w」
「バ、バカヤロウッ!!!」
照れているのか英二はうつ伏せになってシーツに顔を埋めた。
「恥かしかった?ごめんね。でもこれが済んで英二がやっぱり僕を受け入れることができなくなるのだったら僕が英二とSEXできるチャンスが今しかないんだ。だから今僕の全身全霊を駆けて英二の全てを愛したいんだ」
僕は英二の髪をやさしく撫でた。
「俺、女にだってフェラなんてさせたことないんだぜ。なのに・・・・・・」
「じゃあ僕が英二の初フェラだったってことだね。それは光栄だな」
「お前そんなあからさまに恥かしい事言うなよ/////」
英二はうつ伏せのままぎゅっとシーツを握り締めた。そんな恥らう姿まで愛おしく感じる。


「英二・・・」
僕はシーツを握り締めている英二の手を取って僕のパンパンに膨れ上がった股間に導いた。
僕のモノに触れた途端びっくりしたのか英二の躰が一瞬びくんと跳ね上がる。
「英二、僕のもやってよ。英二を見てるだけでこんなのになっちゃったよ」
パジャマのズボン越しとはいえ、英二の手が触れているというだけでますます躰が熱くなっていく。ここで一度抜いておかないと持たなくなるだろう。
「お、俺が・・・不二のを、やるの?」
「そう、口ではやらなくていい。手でやってくれたらいいから」
そして僕は着ているパジャマを脱ぎ去って全裸になった。
「僕も脱いだよ。これでお互い恥かしくないでしょ」
英二の手を再び取って僕の猛ったモノを握らせた。
「手、動かして。英二の手で僕をイカせてよ」
英二の手がおそるおそる上下し始めた。
それはとてもぎこちない動きだけど英二の手が僕のアソコを直接握っているなんて思うだけで射精感が沸きあがってくる。
「英二・・・イイ。すごっ・・・・・・」
薄暗くてよく見えないのが残念だけど英二の指が僕の先走りの液でヌルヌルと濡れて僕の茎に絡みつく。
「英二、もっと手を動かして・・・男ならどうやったら気持ちがいいか解るでしょ?先っぽの出ている部分をつついてくれるとかタマの部分も揉んでくれるとか・・・自分ではどうやってるの?」
「不二/////// よくそんなあれこれ言えるよな・・・・・・。自分で言っていて恥かしくないのか?」
「英二が握ったまま上下に動かしているだけのワンパターンだからだよ」
「お前・・・テクニシャンだな・・・・・・」
「何ならマス掻き講座でもやろうか?」
「///////そんなのしなくていいって!」

僕が挑発した所為か英二の手の動きが複雑になる。
「あっ、くっ・・・」
絶頂が近い。
英二の手によって絶頂を迎えられる。
嬉しい・・・・・・

「はぁっ・・・」
目の前が一瞬真っ白になった。



「英二、ごめんね。英二の手を汚してしまった」
僕はティッシュで英二の手に付いた僕の精液を拭き取った。ついでに自分の濡れたペニスも拭いてきれいにした。

「信じられない・・・」
「何が?」
「俺が不二でイッて、不二が俺でイクなんて・・・」
「人間の本能だよ。僕達はいままでそれを隠して上っ面な付き合いをしてきたんだ」
僕は英二に抱きついてキスをした。
「英二、愛している」
お互いの躰を密着させると自然と下半身のモノ同士がぶつかり合う。僕はわざと英二に自分のを擦り付けた。
「ふ、不二っ/////」
「これが僕の本能だから」
自然と笑みがこぼれてくる。今この瞬間がとても幸せだ。
「今夜は僕の全てを英二に曝け出すから・・・」
僕の欲にまみれた本能も
僕の恥かしい姿も
今まで隠してきた僕の全てを英二にぶつけよう。
ありのままの僕を。








自分の置かれている状況が未だに信じられなかった。
不二にフェラをされた。
俺の手が不二をイカせた。
不二の放った精液の独特の青っぽい臭いが鼻にツンとついて不二も普通の男のように勃起して精液を出すんだと思った。
まあ人間なら当たり前のことなんだけど俺は不二に対してどこか成人君主のような見方をしていた。
中等部の頃の不二は中性的で「キレイ」という表現が似合っていた。TVに出ているアイドルよりもずっとキレイで私服の時は男なのか女なのか一見見間違うほどミステリアスな容姿だった。それでいて天才で何をやっても格好よくて手塚みたいに無愛想じゃないし家だって裕福でおぼっちゃんだし。まさに理想の王子様ってこんなのだろうなあって思った。
俺は不二のようになれないから“理想の王子様”である不二と仲良くするのが嬉しかった。
こんな奴と仲良くなれて本当に良かったと思った。
でも“理想の王子様”は周囲が勝手につくりあげた虚像であって不二は不二だった。
年を取るにつれて俺は本来の不二を見ることができた。
高等部に入って背が伸びて俺とほぼ同じ身長になった不二。
それと同時に逞しく男らしくもなった。
顔は変わらないので相変らずキレイなままだけどアイドルじゃなくてイケメンになった。
でも家に遊びに行くと高校生なのに何故か酒を飲まされた。
俺も上に兄が二人いるからたまに夕食の時に「お前も飲め!」ってビールを飲まされるから抵抗はなかったけど不二はすでに酒豪でどれだけ飲んでもつぶれることはなかった。
さすが天才、不二周助。テニスも強いけど酒も強い。
大学生になるとますます解らない人になった。
「飲みに行こう!」と誘われる店が大概無国籍料理とは名のばかりのゲテモノ料理店ばっかりだった。まあ乾汁を飲んだりかわむら寿司オーダーメードのわさび寿司を食べるくらいだからある程度想像ついてたけど・・・
でもそんな不二が嬉しかった。どこからみても完璧な人間なんていない。
“理想の王子様”だった不二の人間臭い面が見れて不二も自分に近い存在だと思った。
そして煙草を吸う不二。
ホモセクシャルだと告白した不二。
不二は成人君主で遠い存在じゃない。
むしろ誰よりも人の心を解って誰よりも人間くさいのだと思う。
俺が勝手に不二という人間像を創り上げて自ら間にベールを被せていたのかもしれない。
俺は不二周助という男を全く理解していなかった。

「うあっ!!!」
他所事を考えていたら不意に後ろの孔に指を這わされた。
「ふ、不二・・・やっぱ・・・・・・スルの?」
「当たり前だよ。最初にも言ったでしょ、途中でやめないって」
活性油のクリームの冷たい感触でゾクゾクする。
「恥かしいのならうつ伏せになって」
俺はうつ伏せになって枕に顔を埋めた。
しかしそれは腰だけ上げて尻だけ突き出してまるで不二に「さあヤッテ下さい」と言わんばかりの恥かしい格好になった。
不二の指が侵入してくる。
「うっ・・・」
突きあがる不快感。
「はあっ・・・」
不二の指が俺の中を掻き回し、だんだん息も苦しくなっていく。
でも、そんな不快感よりも恥かしさでいっぱいいっぱいだった。
「指増やすよ」
不二の指が二本になった。さっきよりももっと押し広げられる感じ・・・
「うっ・・・」
「痛い?」
「痛い・・・けど・・・・・・恥かしい」
「顔見えてないでしょ」
「見えてないけど恥かしい・・・俺、不二に尻突き出して・・・・・・」
薄暗いとはいえ月明かりで俺の格好は不二に見えている。不二は全てを曝け出すと言ったけど俺は、やっぱり・・・・・・・・・怖い。
羞恥心が込みあがり自然と涙が出てきた。
「ううっ・・・」
「英二、ゴメン」
不二は指を抜くと俺を起こした。そしてあぐらをかいて座る不二の上に跨るように下ろされて向かい合わせに抱きすくめられた。
「ううぅっ・・・・・・ぐすっ・・・」
一度溢れた涙はなかなか止まらない。俺は不二の肩に顔を埋めて泣いた。
不二はこんな俺をただ黙って抱きしめている。
「不二・・・ごめん、俺やっぱ怖い・・・」
「うん・・・無理しないで英二」
不二が優しく髪を撫でてくれる。そうされるとだんだん落ち着いてくる。
「怖がらせてごめんね。止めようか?」
止めようと言っているくせに俺の下の不二のモノがだんだんと固くなっていくのがわかった。
途中で止められないって言っておきながら俺の為に止めようとしてくれている不二。
『僕は本当に英二の事を愛しているから。愛する人が嫌がることをしたくないんだ。僕は英二の為なら我慢する事だってできる』
不二が昼に言った事を思い出した。
こんなに固く熱くなっているのに止めてくれようとするの・・・?
不二、俺の為にそこまで・・・・・・
俺は不二の首に回している腕に力を込めた。
初めて不二が愛おしいと思った。
「英二、そんなに力込めたら苦しいよ」

見る前に跳べ!
俺は勢いだけでこの部屋に入った。
不二の告白も佐伯の言葉も今までどこか他所事に考えていた部分があった。
俺には理解出来ない男同士の世界。
一度不二に抱かれてみたら自分の気持ちがはっきりするかもしれないと考えた。
けど、跳ぶ為に地を蹴った俺は跳びきることができなかった。
やはり恐怖感に襲われた。
そんなヘタレな俺を不二は許して暖かく包み込んでくれる。
これが不二の俺への“愛”なのだと初めて理解した。



心が落ち着いてきた。
「ごめん、不二。もう落ち着いたから・・・続き、しよ」
勢いだけじゃなくて今俺は本当に不二を受け入れたいと心の底から思う。
「いいの?」
「もう大丈夫だから」
「ありがとう・・・」
抱き合ったまま不二の指が伸びてきて再び後孔を貫いた。
「うっ・・・」
クリームの助けもあってほぐれてきたのが分かる。
静かな部屋に俺の荒い息遣いとぐちゅぐちゅという俺を溶かす音が響いている。
何だか卑猥。
3本の指が抜き差しされる。たまに、奥の方で、怖いくらいの快楽の場所を指が触れる。
「はぁっ・・・・!!」
「ここだね?英二のポイント」
俺は黙ってこくこくと頷いた。佐伯にも指摘された場所。そこに触れられると脳天まで快楽が駆け上る。
不二が指を抜いた。
俺は不二の首筋に顔を埋めたまま呼吸を整えた。
ぴりっ・・・とビニールを破る音が聞こえた。
「英二ごめんね、ちょっと腰浮かしておいてくれる?僕コンドーム付けるから」
俺は腰を浮かした。俺の下で不二が素早くコンドームを被せている。
「英二、ゆっくりと腰を降ろして」
後の入り口に不二の先っぽがあてがわれる。

「今から、ひとつになるよ・・・・・・」


「うあっ!」
指とは比べ物にならない質量に自然と声が上がる。
「や・・・・あ・・・・・、うあぁぁああっっっ!!!・・・・・・・」
声にならない声。ものすごい激痛とともに不二自身が入ってくる。
「あ・・・・あ・・・・あぅ・・・」
「英二、力・・・、抜い・・・・て・・よ・・・」
「や・・・・だめ・・・・・・無理っ・・・不二ぃぃっ!!!」
「キツ・・・・・・」
「うああぁぁぁ・・・」
ものすごい痛みに、俺の目から涙が零れた。零れる涙を追うように不二の唇が俺の涙を舐め取ってくれた。
「英二、お願い・・・僕を・・・・受け入れて・・・・・・・、好き・・・だから・・・・英二が、好き・・・だから」
「あ・・・・・・・・っっ!!!!!!!!」
「英二・・・・ごめんね。痛い思いさせて・・・」








「英二・・・・ごめんね。痛い思いさせて・・・」
目の前の愛しい人は激痛でただ涙を流している。
その姿を見て僕の胸が痛んだ。
ホモじゃないのに僕を受け入れてくれた英二。
「愛してる、英二・・・僕を感じて・・・」
早く激痛を快楽に変えてあげたい。
英二の腰を掴んで僅かに浮かせる、そしてと先程指で確認した英二のポイントめがけて突き下ろした。
「いやぁぁぁーーーーーーーー!!!!」
英二が僕の首筋に縋りつく。
「愛している英二」
僕は英二の耳にわざと唇を寄せて耳元で囁く。英二は聞こえているのかどうかわからないけどただこくこくと頷いているだけだった。
「動くよ」
僕は律動を開始した。確実に英二のポイントに当たるように突き上げる。
「あ・・・・はぁぁぁぁぁっ!!!っつ・・・」

信じられない。英二と僕が今ひとつになっている。
何度頭の中で英二を乱れさせただろう。
何度英二の嬌声を想像しただろう。
それが今現実に起こっている。
快楽に身を委ねる英二が僕に縋り付いている。英二の前もすっかり勃ってしまって動くたびに僕の腹に擦れる。
「不二・・・不二・・・・・ぃ・・・」
突き上げるたびに僕の名前を呼んでくれるのが嬉しい。
「ふふ、一緒・・・だね・・・英二・・・・僕達今ひとつになってるよ・・・」
愛している、英二。
ずっと待ち望んでいた。
一度は諦めかけたけど、諦めきれなくて良かったと思う。

英二の腰が、がくんと動いた。
「うあぁっ・・・ああああんっ!!!!!!」
僕の腹に英二の放った白濁液の熱を感じた。
「ん・・・っ、・・・・あぁっ・・・!!!」
僕もまた、英二から与えられる快楽の刺激を受けて欲望を吐き出した。









「ありがとう英二・・・」
全裸のまま二人並んでベッドで横になる。英二は刺激が強すぎたのかまだ息が荒い。
「英二すごく善かった。もう思い残す事はないから」
ホモの僕に付き合ってくれたことに感謝する。
英二が今後僕を拒絶してももう僕は大丈夫だ。今日の出来事を胸に大切にしまって今後ひとりでも生きていける。

「不二・・・」
英二が身をよじって僕に抱きついてきた。
「どうしたの?」
英二が僕の顔を覗き込む。そしてゆっくりと顔が近づいてきて・・・

ちゅっ・・・

軽くキスをされた。

「英二っ/////////」
英二から僕にキスをした!!!
月明かりの中、英二がはにかんだ様に微笑んで言った。

「俺、不二が好き。これからは今以上に愛せるようになると思う」



それは僕の10年間の片思いに終止符を打った瞬間。





〜 ten years after 〜 10年後の日常  完

今まで応援ありがとうございました。感想などを頂けると嬉しいです。
今後ちらほらと番外編を続ける予定ですのでよろしければお付き合いくださいませ。

♪あとがき


お聴きの曲はヤマハ(株)から提供されたものです。
Copyright(C) YAMAHA CORPORATION. All rights reserved.






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