〜 ten years after 〜 10年後の日常(番外編)

† 真面目なdinner †   





「英二、今日の晩ご飯はタイ料理にしてみたんだ」
「へえ〜すごいじゃん何だかよく解らない料理ばっかだけど」
「ラーブ・ブラー・ムックとヤム・ウンセンとケーン・チュー・マラ・ムーとバッ・ムー・バイ・ホラーバーだよ」
「はあぁぁぁぁぁ??????????」
「イカとハーブの和え物と春雨のサラダとにがうりと豚肉のスープと豚肉とバジルの葉の炒め物だよ」
「さすがよくタイに出張に行ってるだけあって本格的だね」
「先週散髪に行った時に読んだ雑誌にタイ食材専門店のことが載ってあったから行ってみたんだ」
「へえ〜、そんな専門店あるんだ。そういや会社の人がこの前タイとカンボジアに行ってきたんだけどなんかカルチャーショックだって言ってた」
「同じアジアでも文化も宗教も違うからね」
「それもあるけどさ、会社の人が一番驚いたのが子供が働いていることだったんだって。しかもようやく話し始めたような子供まで。そういや不二の勤め先がどっかのゼネコンや電力会社と協力して山奥にダム作ったり学校建てたりしてるじゃん。日本が援助しないと子供って教育受けられないんだなあって俺も会社の人の話を聞いて思ったんだ」

「ねえ英二、子供が働いている理由を経済学的に考えるとどういう答えが出てくる?」
「う〜ん、教育水準が日本より低いからかな」
「教育水準が低いとどうなる?」
「教育を受けられずに働く子供が増えてくる」
「そしたらどうなる?」
「どうなるって・・・・・・悪循環の繰り返しじゃん」
「悪循環?」
「教育水準が低いまま抜け出せないんじゃない」
「それもそうかもしれないけど人口が増えるよね?」
「何で?」
「働く子供が増えるという事はイコール働き手は子供だってことになってくるから子供が2人よりも4人いる方が倍稼げるよね。ということは大家族が増えるってことだよ」
「俺んちは大家族だったけど両親共働きでじいちゃんやばあちゃんもぎりぎりまでシルバー人材派遣であちこちに仕事に行って真ん中の兄ちゃん以外はみんな大学や短大に行ったぞ」
「そこが国によっての教育水準の差だよ。まあ英二んちは大家族でも比較的裕福だったってのもあるけどね」
「・・・そっか。っていきなり経済学の話なんか持ち出してくるなよ。大学時代のゼミを思い出すじゃん」
「あはははは。経済学を語る英二ってのもカッコ良かったよ」
「また俺のことおちょくってる・・・・・・」











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