| First Love
 
 
 
 
 
「飲み物用意するから先に僕の部屋に行ってて」
 
 そう言われて俺は2階への階段を上がる。
 俺が階段を踏みしめる音がミシミシとやけに響くような気がした。
 
 そう、
 
 今この家には俺と不二しかいないから・・・
 
 
 
 
 今日誰もいないなんて聞いていない。
 俺の肩には余計な力が入り、そして胸はまるで鷲掴みにされたみたいに締め付けられて苦しくなった。
 
 意識してんのかな?俺。
 
 不二と両思いになってから3ヶ月経つ。
 両思いになってからデートをした。
 暖かい腕で抱きしめられもした。
 そしてキスもした。
 はじめてのキスはドキドキし過ぎて何がなんだか解からなかった。
 でもドキドキしていたのは不二も同じだったらしくお互い余裕がないと解ったらなんだかホッとした。
 そしてそれからはいっぱいいっぱいキスをした。
 昼休みの屋上で給水タンクの陰に隠れて唇を合わせた時は誰かに見つかるかもしれないという恥ずかしさとスリル感でものすごくドキドキした。
 不二のキスはとても紳士的でやさしいキス。
 でも・・・それ以上のことはしていない。
 
 お互い好きなのだからいつかは体の関係は持つ事になるだろうとは思っているけど今の俺たちにはそんな雰囲気もかけらもなくて本当に中学生らしい清い交際。いや中学生で肉体関係を持つ方が成熟していて変なのかもしれないけどやっぱり俺も中学男子で3年生にもなるといろいろと興味もあったりで・・・。
 もし俺が不二と肉体関係を持った場合きっと俺は"抱かれる"方になるんだろうと思う。俺末っ子で甘えたい方だし、不二は長男だから日頃からしっかりしてるし、背は俺の方がちょっと高いけど俺は不二に甘えたいと思う。
 
 不二だからこそ甘えたいと思う。
 
 
 
 俺は不二の部屋に入った。
 いつものようにきちんと片付けられて整理された部屋。
 ふと机の上を見ると写真が何枚か散らばっているのが目に付いた。
 俺はそのうちの一枚を取り上げて眺めてみる。
 別に何らおかしくない普通の風景写真。
 机の上の何枚かの写真もすべて風景写真だった。
 「そういや不二は風景を撮影するのが好きだって言ってたな」
 たしかライカとかいう一眼レフカメラを持っていて自分で撮影した日本アルプスの山の頂にまだ積雪の残る連峰を4つ切りサイズに引き伸ばして部屋に飾っている。
 俺は後ろを振り返ってその連峰の雄大でそれでいて見ていて落ち着くようなその写真を眺めた。
俺は写真のことはよく解らないけどきっとこの写真をコンテストか何かに出品すると入選間違いなしだと思う。
 一度不二にそんなこと言ってみたけど不二はただ笑ってるだけだった。
 勿体ないな・・・何でも出来る天才なのに。
 そんなこと考えているうちに机の横に置いてあるパソコンの画面が動いていることに気が付いた。
 「スクリーンセーバー」画面の焼きこみを防止する為に一定の時間使わなくなったら動画を流すと学校のパソコンの授業で習った。てことは俺が来るまで不二はパソコンを触っていたのだろうか。写真が散らばっているからきっと写真をスキャナで読み込んだかデジカメで撮影した写真とか見ていたに違いない。
 俺は不二が撮影した写真がもっと見たくなってマウスに手を伸ばした。
 
 
 デスクトップ上にデジタルアルバムのソフトのアイコンがあったのでクリックして開いてみる。不二のパソコンはimacとかいうやつで鮮やかなブルーのモニター(本体付き?)なのが格好イイ。ちょっと前のデザインらしいけど。でもこのデザインのパソコンは不二に似合っていると思う。不二は今の白いmacの方が格好イイとか言っていたけどな。白だとすぐ汚れちゃうじゃん。ただWindowsを勉強した俺にとってはこの格好イイ黒いキーボードと丸いマウスはかなり使いにくいんだけどな。
 そんなことを考えながら俺はデジタルアルバムに収められたいろいろな風景写真を次々と眺めていった。
 北海道富良野のラベンダー畑
 白樺の森
 京都の歴史ある寺院
 花しょうぶの庭園
 冬の日本海の荒海
 そして青春台の何気ない日常の風景
 実に不二の撮影している写真はバラエティーに富んでいて見ていて飽きがこない。
 
 「何これ・・・」
 
 俺は次のアルバムをめくった瞬間全身が固まるのが自分でも分かった。
 そこに収められていた写真は全裸の少年が淫らなポーズをとってまるで誘っているかのようないわゆる悩殺写真ばかりだった。しかもいわゆる無修正ってやつでモロに見えてるし、なんかめちゃめちゃエロいし、見てる方がこっ恥ずかしくなってくる。
 そしてその少年の顔は―――――俺だった。
 「こんな写真撮られた覚えないよ」
 俺の膝がガクガクしてきて立ってるのさえ辛くなって机に両手を置いて体を支える。
 こんなエッチな写真を撮られた覚えなんてない。それになんでこんな写真を不二が持っているんだろう。俺の頭は混乱するばかりだった。
 
 
 「見ちゃったんだ。英二」
 不意に不二の声がして後ろを振り返る。不二は紅茶を載せたトレイをテーブルに置いて、俺に近づいて、きた。
 ゆっくりと近づく不二がなんだかとても怖く感じた。
 不二にこんな気持ちを抱くのは初めてだ。
 「お、俺・・・こんな写真・・・撮られた覚え、ない」
 「撮った覚えもないよ」
 「じゃあ・・・何で」
 「それは僕が作った合成写真だからだよ」
 「合成写真???」
 「"アイコラ"とかいうのを聞いたことない?アイドルの顔写真をAV女優等のエッチな写真と合成していかにもそのアイドルがエッチなことしているかみたいな写真だよ」
 「俺の写真をエッチな写真と合成したの?」
 不二は黙って頷いた。
 「何で・・・」
 「英二、悪いけど今日はもう帰ってくれないかな」
 「何で・・・」
 「いいから帰って!」
 突然不二が怒鳴った。
 俺は吃驚して一瞬涙が出そうになった。
 不二が理解できない・・・
 俺は気を抜けば溢れそうになる涙が流れ落ちる前に不二に背を向けてドアに向かった。
 でも俺の視界はだんだんぼやけてきて俺はあまりの悲しさにドアノブを握ったまま動けないでいた。
 「うっ・・・くっ・・・」
 不二に泣くとこなんか見られたくないのに後から後から涙が溢れてくる。
 そして俺の体もその場から動けないでいた。
 「・・・英二、君が嫌いだとかそういうんじゃないんだ」
 背後から聞こえる不二の声。不二の声もなんか辛そうで・・・
 「このまま英二がここにいたら僕は何をするかわからない。だから帰ってほしいんだ」
 俺は振り返った。不二も今にも泣き出しそうな顔をしている。
 「俺に何をする気なの?」
 「僕・・・英二の事が好きで好きで堪らないから・・・英二の身も心も僕のものにしたいといつも思っている。英二を抱きたい、SEXがしたい。でもそんなことしたら英二の体に負担がかかってしまうから。3年生の、中学最後のテニスの試合を控えてるんだからこんなことで英二の体をめちゃくちゃにしたくないんだ。だからこんな写真を作って毎晩自分を慰めてた」
 
 
 
 
 「!!!!!英二っ」
 無意識のうちに俺は不二に抱きついていた。
 「不二の馬鹿っ!俺の体がそんなにヤワだと思ってんの?俺、不二なら大丈夫だよ。不二になら何されたっていい。それに・・・俺も同じこと考えてた。俺も不二に甘えたい。・・・今日だってここに来たとき誰もいないからって"もしや"と変な期待してた」
 「英二・・・」
 不二の手が俺の背にまわる。
 お互いに密着した胸から不二の速い鼓動が伝わってきて"あの天才不二周助"だってこんなになってるんだとそしてその原因が俺だと思うと妙に嬉しくなってくる。
 「我慢はよくないよ、不二」
 そして俺は自分の唇を不二のそれにそっと重ねた。
 俺からキスをするのは初めてなので不二も驚いたのか一瞬体がびくっとしたけどそれでも俺からのキスを受け入れてくれた。俺も不二がいつもしてくれているように舌の先で不二の下唇をちょんちょんと軽く突付くと不二が薄く口を開けてくれて・・・そして俺は舌を差し入れた。
 多分俺のキスってぎこちないんだと思う。
 「・・・んっ・・・ふう・・・・」
 不二が苦しそうに喉の奥をならしたけどそれでも俺の舌に絡んできてくれて静かな部屋に2人の舌を絡めあうぴちゃぴちゃという音だけが響く。
 「だめだよ英二っ!」
 不二が俺の胸をどんっと突き放した。
 「そんなことしちゃ僕は本当に止められなくなるよ」
 
 
 「不二って優しいね」
 「えっ?」
 「俺の体を本当に気遣ってくれてるんだ」
 「当たり前だよ。大好きな人の体なんだから」
 「俺も不二のこと大好き。大好きだから頑張れる。俺、不二の為ならどんなことにも耐えられる・・・だから」
 
 「俺を抱いてよ」
 
 俺は不二の目をまっすぐに見て言った。
 そしてシャツのボタンに手をかけて上からひとつひとつ外していった。
 「そんな嘘の写真の俺じゃなくて、俺はここにいるんだから、本物の俺を愛してよ」
 我ながらすごい事言ってると自分でも思う。けど手は震えていてなかなか上手くボタンが外せなくて・・・
 「手が震えてるよ、英二」
 不二はクスッと笑うと俺の手をほどいて不二の手でボタンを外していった。
 「本当にどうなってもいいの?」
 不二は悪戯っぽく微笑みながら言った。
 「いい、不二が大好きだから」
 「そんなこと言ったら本気になるよ」
 言うや否や俺の体が宙に浮いた。
 「ちょ、ちょっと不二っ!!!」
 不二はいきなり俺の体をお姫様だっこするとそのままベッドに移動した。
 「不二っ!歩けるから、重いだろっ!」
 「暴れたら落っこちるよ」
 不二の細腕にこんな力があるのだと初めて知った。
 不二は俺をベッドに横たえると覆いかぶさってきた。
 「英二、僕もう・・・止められないから。泣いたって止めないよ。それでもいいの?」
 俺を見下ろす不二の目は真剣そのものでその瞳に吸い込まれそうにさえなる。
 俺は黙って頷いた。
 
 
 
 
 
 
 
 不二が俺の首筋から胸元にかけて唇を寄せていく。正直言ってくすぐったい。そして心臓の辺りをひときわ強く吸い上げた。
 「痛っ・・・」
 「ごめん、痛かった?でも付いたよ」
 「何が?」
 「キスマーク」
 「ええええっっっ///////!!!!!」
 「英二が僕のものだって証」
 「不二ぃ〜、人前で着替えられないじゃんかよ///」
 「悪い虫がつかないようにしないとね」
 「恥ずかしいよ」
 「ごめん、この一箇所だけだから」
 そして俺の左胸の突起を吸い上げた。
 「ああっっっん・・・」
 自分でも信じられないくらい艶のある声が出た。
 「英二、色っぽい」
 「いやぁ・・・」
 俺は堪らなくなって両手で口を押さえた。
 「声を聞かせてよ」
 「やだ」
 「僕は英二のすべてを知りたいんだ。僕に見せてよ本当の英二を」
 真剣な瞳でそう言われて俺は口から手を外した。
 舌先で突起を舐られ空いている方の手で反対側の突起を摘まれて身体の奥から何とも言えない気持ちいい感覚が襲ってくる。
 「あ、あん・・・ふ、不二・・・俺なんかへんな感じ・・・」
 下半身にすべての熱が集中していくのが自分でも解る。
 「ああん・・・ん、はぁっ・・・・・・」
 「いいよ、英二。やっぱり本物の英二が一番いい」
 「あん・・・あ、あたり・・・前だろっ・・・んあっ」
 俺はシーツをぎゅっと掴んで不二の愛撫を受け続ける。
 「勃ってるよ、英二」
 不二の手が俺のモノをズボンの上からやんわりと握りこむ。
 「あっあ・・・!」
 布越しでの刺激でも俺には十分で俺は無意識のうちに頭を左右に振った。
 かちゃかちゃと音がして足の方を見たら不二が器用に俺のズボンのベルトを外してズボンを下着ごと脱がしていた。
 阻むものがなくなってますます自己主張している俺のモノを不二はじっと見つめている。
 「やだっ・・・そんなにじろじろ見るなっ!」
 俺は恥ずかしくなって両手で股間を隠した。
 「隠さないで英二。僕が想像していたよりもずっとかわいいよ」
 不二が俺の手をぺろりと舐め上げた。
 「ほら、手をどけてよ。舐めてあげるから」
 「ええっっっ!!!」
 俺は吃驚して起き上がった。
 「今、何て言った?」
 「英二のを舐めてあげるって言ったんだよ」
 俺はますます恥ずかしくなって両足を閉じて両手で股間を隠した。
 「だめだめっ!こんなの舐めちゃ、汚いよ」
 「英二の体で汚いとこなんてないよ」
 「それでもヤダッ!恥ずかしいよ」
 「しょうがないね」
 不二は困ったように笑うと俺の手の甲に不二の手を重ねてきた。
 「じゃあ今日は手でしてあげるから。この手をどけてよ」
 俺はおずおずと両手を離した。
 押さえつけられていた俺のモノはぷるんと勃ちあがり上下に振るえた。
 すでに先端の窪みから先走りの体液が噴き出して茂みをもぐちょぐちょに濡らしている。
 「今の英二ってすごく卑猥。僕もぞくぞくするよ」
 「やっ////そんなこと言うなって」
 不二の手が俺の根元を掴んで上下に扱きはじめる。
 初めて他人の手によって与えられる刺激が背中をぞくりと駆け抜ける。
 「ああっ」
 不二のすらりと長い指が俺のモノに絡みつき扱いている。
 その淫猥な行為を正視できなくて俺は顔を背ける。
 「ちゃんと見てて」
 お仕置きと言わんばかりに根元を強く握られた。
 「うっ・・・・・・」
 俺は顔を正面に戻した。
 「大きくなってきたね。これが英二のMAXサイズ?」
 「/////知るかっ!」
 「英二、可愛い」
 不二が俺に口付けてきた。下の刺激で呼吸もままならないところへ舌を差し込まれて俺は息が詰まりそうになる。
 「ん・・・ふぅん・・・んん・・・・・・」
 不二は俺のモノを握りしめたまま親指の腹で先端の体液が噴き出している箇所をくるくると弄んだ後また茎全体を扱き上げた。
 「不二っ、も・・・もう、駄目っ、出るっ・・・」
 俺は不二の唇から自分の唇を離して叫んだ。
 「いいよ、出して」
 不二の指に力がこもる。
 俺は不二の手の中で果てた。
 
 
 「いっぱい出たね」
 俺は座っていられなくて仰向けになって肩を上下させてはあはあと荒い息をついた。
 不二はわざと俺に見せるように手に付いた精液をぺろりと舐め上げた。
 「不二のえっち・・・」
 「目の前に本物の英二がいるのに僕が理性を抑えられる訳ないじゃないの」
 「不二も気持ちよくなろうよ・・・」
 不二の股間も既にズボンが窮屈そうになっていた。
 「そうだね、ぼくもそろそろ限界かな」
 不二は俺の秘部に塗れた指をゆっくりと差し入れてきた。
 「うっ・・・・・・」
 初めての異物感に息が苦しくなる。
 でもちゃんと慣らしてもらわないと不二を受け入れることができない。
 俺はシーツをぎゅっと掴んで耐えていた。
 なんとか指が3本入って不二の指が中を掻き回す。
 正直言って気持ち悪い。
 でも3本も入ったってことはそろそろ不二のを入れても大丈夫なんだろうかと思う。
 いよいよ不二と繋がるんだ。不二はいったいどんな顔して俺に入ってくるんだろう。
 「不二・・・そろそろ入れてもいいよ」
 「ありがとう英二」
 不二は素早く服を脱いだ。無駄な脂肪がいっさい付いていないとても綺麗な体だった。
 全裸になった不二にしばし見惚れてしまう。
 でもさ、不二って
 「でかい・・・」
 思わず呟いてしまった。
 今から俺の中に入ろうとしてしっかり天を仰いでいる不二のモノは俺よりもでかかった。体は俺より少し華奢なのになんでアソコはでかいんだ。
 「そりゃ目の前に今まで抱きたくて抱きたくてしょうがなかった好きな人がいるんだからね。いつもより大きくなってるよ」
 不二は少し照れたように笑って言った。
 「つーか、それを入れるのか?」
 今までロマンス小説か何かのような気分に浸っていた俺は急に目の前の現実に引き戻されて起き上がってしまった。
 「そうだけど」
 「む、無理っ!無理だって!!!!そんなの入らないよ」
 「入れてみなきゃわからないよ。それにここまできてやめるって言うの?僕のこれをどうしてくれるつもりなの?」
 「うっ・・・・・・」
 俺は言葉に詰まった。確かに誘ったのは俺だし大好きな不二だから何だって耐えてみせると思った。思ったけど・・・・・・
 俺は意を決めて仰向けになった。両膝を胸に付くくらい折り曲げて不二に秘部を晒し出す格好をとる。
 「来てよ・・・不二」
 急に態度を変えた俺に不二は一瞬驚いたような顔をしたけどすぐにいつものニコニコ顔になった。
 「ありがとう」
 そして不二は自分の陰茎を掴んで俺の秘部の入り口にあてがった。
 「いくよ」
 ゆっくりと不二の先っぽが入ってきた。
 「痛っっっ・・・・・・!!!!!!」
 物凄い激痛だった。あまりの痛さに目の前が真っ白になる。
 けどこれからやっと不二と繋がるんだし我慢しなきゃと思って俺は唇を噛んで激痛に耐えた。
 その途端少しだけ入っていた不二のものが抜けていく感覚がした。
 痛みはもうなかった。
 「ごめん、英二。泣くほど痛いんだね」
 えっ?と思って手を頬にあてるといつのまにか涙を流していた。きっと生理的な涙だろう。
 「大丈夫だよ。不二と繋がる為なら俺はどんなに痛くても耐えるよ。だから続き、しよ」
 「でもこのまま続けると君の体がどうなるか分からない。僕は傷付けたくないんだ」
 「俺が泣いても止めないって言ったじゃんか」
 「本当に泣いてるとこみたらとても出来ないよ」
 俺の目から涙が溢れた。
 「まだ痛むの?」
 「痛くて泣いてんじゃないよ。悲しくて泣いてるだけ」
 「英二・・・」
 「俺もずっと不二とこーゆーことしたかったよ。付き合い始めてから二人っきりになる度に『もしかして』とドキドキしてたよ。不二ん家に行くときは馬鹿みたいにいつも新しい下着を穿いて来たよ。そんで・・・今日やっとこの日が来たってのに・・・ひっく・・・」
 後から後から涙が溢れてくる。仰向けになったままなので目尻から流れ落ちてシーツを濡らしていく。
 「泣かないで英二」
 不二が俺に覆いかぶさってきて目尻に唇を寄せて涙を舐めとった。
 「出来るとこまでやってみようか」
 そう言うと不二は起き上がって机の引き出しから何かを持ってきた。
 「何それ?」
 「普通の軟膏だよ、怪我した時に塗る薬」
 不二はチューブから軟膏を取り出して俺の秘部に塗りたくった。そして不二のモノにも塗りたくる。
 そして不二がゆっくりと俺に入ってきた。
 「うあっ・・・」
 「痛かったら言って」
 軟膏のおかげでさっきよりはスムーズに入っていくけど指とは比べ物にならないくらいの圧迫感でだんだんと息が苦しくなっていく。
 「くっ・・・・・・」
 不二が小さく呻いた。不二だって俺の中が狭いから苦しいんだ。
 「力抜いて」
 「で、できないよ・・・」
 とてもそんな余裕がない。圧迫感に堪えるべく俺は奥歯を噛み締めた。
 「あ、ああんっ・・・」
 不二がいきなり俺のモノを掴んだ。その途端俺の意識はそこへ集中してしまって・・・・・・
 「あ、ああああっっっーーーーーっ」
 どさくさ紛れに一気に奥まで貫かれた。
 「全部入ったよ英二。僕が中に入っているのが分かる?」
 不二は嬉しそうに言ってきた。本当に嬉しそうだ。
 俺はめちゃめちゃ痛くて苦しくて本当は早く抜いてほしかったけどとても嬉しそうな不二を見て我慢して良かったと思った。
 「俺たちやっとひとつになれたんだね」
 「そうだよ。英二、愛してる」
 不二が俺にキスをしてきた。
 俺はドキッとした。今まで不二に好きだの何だのとは言われたけど『愛している』と言われたのは初めてだった。
 「動くよ」
 不二がゆっくりと動き出した。
 「ああーーーーっ」
 貫かれる度に激痛が走ってあられもない声が出る。
 でも不二はとても気持ちよさそうな顔をしているから俺は我慢をしてずっと不二の顔を見ていた。
 普段あまり自分の感情を表に出さない不二なので"食欲"だの"物欲"だのとは無縁そうに見えるけど今の不二は"性欲"が表れていて俺はそんな不二が珍しくってずっと見上げていた。
 「そんなにじっと見つめられちゃ照れるなあ」
 「俺が恥ずかしがる気持ち解っただろ」
 「英二になら見られてもいいかな」
 「俺も不二なら・・・」
 「英二は挿れられて気持ちよくないの?」
 「んーよく分からない」
 気持ちよくなんてない。痛いだけだ。と言いたかったけど不二があんまり気持ち良さそうだったから言うのを止めた。
 「そりゃ、初めてだもんね」
 そう言うと不二は角度を変えながら俺を貫き始めた。
 「ぅあっ・・・」
 痛すぎる………。
 つーか不二、激しすぎ。
 そうだ、不二はいつも平静な顔をしているけど本当は誰よりも熱くて、貪欲にスリルを求めて・・・
 「ふ、不二はどうなの?俺に挿って気持ちいい?」
 「最高だよvv 身も心も英二とひとつになっているんだもん」
 不二が綺麗に笑う。
 本当に嬉しそうで・・・
 不二ってこんなに俺のこと愛してくれてるんだ。
 「ねえ・・・」
 「何?」
 
 
 
 
 「不二大好きっ!」
 
 
 
 「うくっっっ・・・」
 不二がいきなり苦しげに呻いて上体を前に二つ折りにした。
 その途端不二のモノが俺から抜けていって………
 俺から抜けた途端不二は俺の腹に向かって射精した。
 腹から胸に感じる不二の熱い欲望の証。
 不二を見ると両腕をベッドについて肩で大きく息をしていた。
 「だ、大丈夫?不二」
 俺は問いかけてみたけど不二は相変わらず荒い息をしている。
 
 
 
 「え、英二・・・卑怯だよ」
 「にゃにが?」
 「そんな色っぽい格好で可愛く『大好き』なんて言われて僕、我慢できずにすぐにイッちゃったじゃないの!なんとか中出しは避けれたけど・・・」
 不二が息を整えながら俺を睨み付ける様に言った。けど目は怒っていない。
 「まだまだだね」
 「英二ぃ〜!!!!」
 
 
 
 
 
 その後二人でシャワーを浴びてベッドの上で二人並んで横になってゆったりとした時間を過ごした。
 「今度はちゃんとコンドームを用意するからね。リベンジ果たすよ」
 そう言って不二は俺のおでこにちゅっと軽くキスをした。
 不二、すぐにイッちゃったこと根に持ってるよ……(汗)
 それにしても腰がめちゃくちゃ痛い。やっぱ痛い。
 何度もこの行為を繰り返すと慣れて痛くなくなるものだろうか?
 俺も中に入っている不二を感じる事ができるようになるのだろうか?
 「……英二、やっぱり身体辛い?大丈夫?」
 俺が黙っているので不二が心配そうに覗き込んできた。
 「んー、やっぱ初めてだったから・・・でも大丈夫だよ。痛かったけど不二の愛情をいっぱいいっぱい感じることができたから」
 そう、不二の体温を感じて心が温かくなってとても落ち着いた。身体はめちゃくちゃ痛いけどそれは時間が解決してくれる。
 「それよりさあ、不二」
 「何?」
 「あ・・・あの、パソコンの写真さ、削除してほしいんだけど」
 「そうだね、本物の英二を愛することができたんだからもうあの写真はいらないね」
 不二は起き上がってパソコンを操作し始めた。俺もだるい身体を起こして不二の後ろからその様子を見る。
 次から次へと削除されていく写真。
 もうこんな偽の写真は必要ない。
 これから不二は本物の俺を見てくれるのだから。
 
 
 
 fin
 
 
 
 
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