君の笑顔に花束を 2
元日の朝、俺は頭への鈍痛で目が覚めた。
目が覚めたと言っても妙な暖かさが心地よく、目を瞑ったまましばらく毛布に包まっていた。
不二が3月に帰国するからイギリスでの正月はこれで最後だからカウントダウンパーティーするから英二も来なよっていきなり航空券送りつけてきやがったので俺は正月をイギリスの不二のところで過ごすことになった。
夕方からパーティー用の食材を準備して、夜になって不二のテニスの関係者達が集まって飲んで食べて騒いで…それからの記憶が無い。
俺は目を開けた。
「おい、これどーゆーことだよ!!!!!」
大声を出したら頭に響いたので仕方なしに頭を抱えて枕に顔を沈めた。
何なんだこれは…
この頭の痛さからこれは二日酔い
でもこれはねーんじゃないの
「やあ、英二オハヨウ、そしてHappyNewYear!」
目の前で不二がいつもの優雅な笑顔で言った。
「おい、これどーゆーことだよ…」
俺と不二はお互い全裸でひとつのベッドに寝ていた。
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俺は寝ている間に不二にあんなことやこんなことをされたのだろうか…
確かに俺は不二のことを前向きに考えるとは言ったけどホント言うと未だ何も考えていない。
それなのにいきなりこんな展開だなんて…
俺は不二のこと…
ていうか頭イタイ
「心配しなくていいよ。僕は無抵抗の君に何もしていない」
「じゃあなんでお互い裸なんだよ!」
「僕は寝るときよく裸で寝るんだ」
「俺はパジャマ着て寝ます」
「だって英二ったら酔いつぶれたんだから仕方ないじゃない」
「酒に弱くて悪かったな」
「酔いつぶれた英二を僕のベッドに寝かせて残った皆でパーティーやってたけど皆終電で帰っちゃって…で、面倒だから英二の横で寝させてもらったんだよ。ホントは英二は居間のソファがベッドになるんでそこで寝てもらう筈だったんだけどね」
「酔いつぶれて不二のベッドを奪ったのは悪かったよ。でもなんで裸なんだよ」
「服に皺がいくからだよ」
「パンツまで脱がせることねーじゃん」
「僕に手間かけさせてんだから別にいいじゃない」
あー言えばこう言う不二に俺は溜息をついた。
不二は俺のことが好きだ。でも俺は未だよくわからない。
「英二、いつまでもうだうだ言ってたら前に進めないよ。だからとりあえず僕と付き合ってみようよ」
言うや否や抱きしめられた。
「ちょっ、不二っ!!!」
今の俺たちはお互い全裸だ。
不二の体温が直接伝わってきてかなりこっ恥かしい。
俺はなんとか逃れようともがくがそれを不二は許してくれない。
さすがプロのテニスプレーヤーだ。細腕でも力は結構強い。
「元旦の朝から俺は一体何やってんだ…」
「イ・イ・コ・ト」
不二が嬉しそうに言うが俺には二日酔いの頭に余計に響くだけだった。
なんだかもうよくわからない。
減るもんじゃないからとりあえず不二と付き合ってみるのもいいんじゃないかって気がだんだんしてきた。
いや、元はと言えば俺が軽々しく言い出したことがすべての原因だ。
ここは男らしく腹をくくろう。
「とりあえず、二日酔いが治まるまで待ってくれ」
そして俺は睡魔に誘われるまま目を閉じた。
終
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